吾輩は猫である。
名前はまだない。
昔の歌が、
ふと流れる。
あの頃の景色まで、
一緒に戻ってくる。
人間はこれを、
懐かしのアイドルと呼ぶ。
歌は変わらぬ。
だが、
聴く人は変わる。
学生だった者は、
社会人になり、
親になり、
歳を重ねる。
それでも、
イントロが流れた瞬間、
あの頃の自分が顔を出す。
吾輩は思う。
懐かしさとは、
過去を思い出すことではないと。
あの頃の自分と、
今の自分が、
静かに再会することだ。
人間は、
アイドルを応援していたつもりだ。
だが、
本当は、
あの頃の自分を応援していたのかもしれぬ。
時は流れる。
姿も変わる。
歌声も、
少し落ち着く。
だが、
思い出は、
色あせても消えぬ。
吾輩は猫である。
流行は追わぬ。
だが、
懐かしい匂いは忘れない。
懐かしのアイドルとは、
昔のスターではなく、
自分の人生を映す鏡なのだ。
あの歌に
あの日の自分
また出会う