吾輩は猫である。
名前はまだない。
分厚い本を、
人間は真剣な顔でめくる。
数字、
会社名、
業績、
配当。
人間はこれを、
四季報と呼ぶ。
未来を知りたい。
その思いで、
一ページずつ読み進める。
吾輩は思う。
投資とは、
未来を当てることではないと。
未来を考え続けることだ。
良い会社にも、
苦しい時期がある。
目立たぬ会社が、
大きく育つこともある。
一冊の本に、
答えは載っていない。
だが、
考える材料は、
たくさん載っている。
人間は、
株価ばかりを見る。
だが、
会社を見る者は、
決算も、
事業も、
経営者も見る。
木ではなく、
森を見る。
それが、
長く続ける投資なのかもしれぬ。
猫は、
一度に飛びつかぬ。
じっと見て、
様子をうかがい、
ここだと思った時だけ動く。
焦らぬことも、
力である。
吾輩は猫である。
株は買わぬ。
だが、
慌てて飛びつかぬ知恵は知っている。
四季報とは、
銘柄を探す本ではなく、
会社を見る目を育てる本なのだ。
頁めくり
数字の奥に
人を見る