吾輩は猫である。
名前はまだない。
静かに座る。
それだけで、
崩れぬ形がある。
人間はこれを、
芯があると言う。
外からは見えぬ。
触れてもわからぬ。
だが、
確かにそこにある。
揺れぬ理由は、
力ではない。
内に通った一本の線だ。
吾輩は思う。
芯とは、
主張ではないと。
声を大きくすることでも、
前に出ることでもない。
ただ、
どこに立つかを
決めていること。
迷いはある。
揺れることもある。
だが、
戻る場所がある。
それが、
芯である。
人間は、
評価を気にし、
周囲に合わせ、
形を変える。
それも必要だ。
だが、
変えてよいものと、
変えてはならぬものがある。
猫は、
無理に合わせぬ。
近づくことはあっても、
自分を曲げぬ。
だから、
静かに強い。
吾輩は猫である。
声は上げぬ。
だが、
ぶれぬ線は持っている。
芯があるとは、
揺れてもなお、
戻れることなのだ。
揺れながら
戻る一本
芯の道