【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―沙羅 編―

2026年5月30日

吾輩は猫である ―沙羅 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

朝、
気づけば花が落ちている。
音もなく、
気配だけを残して。

人間はこれを、
沙羅と呼ぶ。

咲いている姿より、
落ちた後に気づかれる花。
一日で散るとも言われ、
長くは留まらぬ。

だが、
短さは、
軽さではない。

一瞬に、
すべてを込める。
それが、
沙羅の在り方だ。

吾輩は思う。
長く続くことだけが、
価値ではないと。

短くても、
深ければ残る。
見逃されても、
確かに在ったものは消えぬ。

人間は、
目立つものを追う。
だが、
静かなものほど、
後から心に残る。

朝露の中で、
白い花が地にある。
誰も見ていなくても、
整っている。

それで十分だ。

吾輩は猫である。
花は咲かぬ。
だが、
散り際の美しさは知っている。
沙羅とは、
短さの中に
深さを宿す存在なのだ。


散りてなお
気づかれ残る
白き影


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gonta

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