吾輩は猫である。
名前はまだない。
人間は、
会社という場所に集まり、
毎日仕事をする。
机。
パソコン。
会議室。
倉庫。
工場。
いつも通り動いている時は、
何も問題ないように見える。
だが、
災害は予定表を見て来るわけではない。
地震。
大雨。
停電。
火災。
通信障害。
人間はこれに備えることを、
企業防災と呼ぶ。
吾輩は思う。
会社の防災とは、
非常食を置いておくだけでは足りぬと。
まず、
人を守る。
逃げる場所を決める。
安否を確認する。
帰れない者を支える。
けが人が出た時に、
どう動くか決めておく。
そして、
もう一つ。
仕事も守る。
データ。
設備。
取引先。
物流。
連絡手段。
止まった時に、
何を優先して戻すのか。
人間はこれを、
事業継続と呼ぶ。
吾輩は思う。
災害の時ほど、
全部を守ろうとしてはいけないのかもしれぬ。
命。
安全。
最低限の仕事。
その順番を、
平時に決めておく。
それが大切なのだろう。
猫なら、
大きな音がすれば、
まず逃げる。
お気に入りの箱を取りに戻ったりはしない。
人間も、
本当は同じでよい。
書類より命。
パソコンより人。
売上より安全。
当たり前のようで、
いざという時ほど忘れやすい。
吾輩は思う。
企業防災とは、
災害を防ぐことではない。
起きた時に、
迷わず動けるようにしておくことだ。
訓練する。
備蓄する。
連絡手段を複数持つ。
代わりの拠点を考える。
そして、
一度作った計画を、
放置しない。
人が変わる。
設備が変わる。
働き方も変わる。
ならば、
防災も更新しなければならぬ。
吾輩は猫である。
事業継続計画は作らぬ。
だが、
危ない時にどこへ逃げるかくらいは、
いつも考えている。
企業防災とは、
会社の建物や数字を守ることではない。
そこで働く人が、
災害のあとも生活へ戻り、
また仕事を続けられるようにするための、
平時からの備えなのだ。
守る順
まず人それから
仕事なり