吾輩は猫である。名はまだない。 このところ人間の世界では、「総裁選を前倒しする」という話で持ちきりらしい。新聞が騒ぎ、テレビが連呼し、飼い主までもスマホを覗きながら「誰が立つか」と呟いている。 猫の世界でも似たことはある。路地裏のボスの座をめぐり、次の季節を待たずに争いが始まるのだ。魚屋の裏を縄張りにするか、それとも市場の残飯を抑えるか。利害がからめば、先に仕掛けた方が有利――それは人間も猫も変わらぬ理である。 ただ、猫の選挙は単純だ。強さと度胸、そして誰よりも大きな声で「にゃあ」と鳴けるかどうか。政策だ ...