吾輩は猫である。名前はまだない。 朝の空気が澄み、人の流れが一方向へ向かう。旗が小さく揺れ、声は抑えめに重なる。 人間はこれを、一般参賀と呼ぶ。 集まる理由は、言葉よりも所作にある。遠くを見ること、立ち止まること、同じ方向を向くこと。 吾輩は、少し離れた場所からそれを見る。近づきすぎぬ。だが、背を向けもしない。 姿は遠く、言葉は短い。それでも、人は満ち足りた顔で帰る。 見えたからではない。集ったからだ。 祝いとは、騒ぐことではない。確認することだ。続いているものを、今年も続けるという意思を。 旗は振られ、 ...