吾輩は猫である。名はまだない。 今日、商店街の広場で「猫好きさん大集合」のイベントが開かれた。飼い主が嬉しそうに吾輩をキャリーに入れ、「今日は君が主役だよ」と言った。――ふむ、主役ならば堂々と行こう。 広場には、実に多くの猫と人間。長毛、短毛、まん丸、スリム、鳴き声も毛並みも、それぞれに個性が光る。けれど、みんなの目がやさしい。「かわいいね」「ふわふわだね」――その言葉が風にのって、まるで春の花びらのように舞っていた。 猫を抱く手、カメラを構える目、笑う声、子どもの驚き。どれも吾輩にとっては、“人の心がほ ...