吾輩は猫である。名前はまだない。 今日で、一つが終わる。暦の上では、ただの一日だが、人間にとっては区切りらしい。 三月三十一日。 机の上には、片付けきれぬ紙と、締めきった仕事。終わったものと、終わらなかったものが、同じ場所にある。 人間は、振り返る。やり切ったか、足りなかったか。答えは、どちらでもないことが多い。 吾輩は思う。区切りとは、整理のための印だと。 すべてを終わらせる日ではない。ただ、ここまで来たと認める日である。 窓の外には、少しだけ春の気配。終わりの隣に、始まりが置かれている。 人は、明日か ...