吾輩は猫である。名前はまだない。 最近、少しだけ動きが鈍い。食欲はあるが、昼寝の時間が長くなった。人間は、それに気づいたらしい。 ある朝、天井の白い箱が開かれた。脚立、雑巾、そして「今日は掃除だな」という声。 どうやら、エアコンの清掃である。 風は、見えぬうちに溜まる。埃、湿気、そして季節の疲れ。それらは、人より先に、猫の体に表れる。 吾輩は、冷たい風が苦手だ。だが、澱んだ風はもっと苦手である。 人間は言う。「猫のためにもな」と。それは、なかなか正しい。 フィルターが洗われ、乾かされ、箱は元の姿に戻る。吹 ...