吾輩は猫である。名はまだない。 夜。飼い主が寝静まったあと、吾輩はそっと窓辺にのぼった。雲ひとつない空に、星が無数に散りばめられている。 まるで誰かが黒い布に針で小さな穴をあけ、そこから光をこぼしたようだ。 遠くの山も街も眠っている。けれど空だけは、何千年も昔から目を覚ましたままだ。 吾輩は思う。あの光は、今も届き続けている。何光年も前に消えた星の光が、こうして吾輩の瞳に映るのだ。――不思議なことだ。小さな命が、宇宙の果てとつながっている。 流れ星がひとすじ、夜を切り裂いた。願いごとをする間もなく消えたが ...