吾輩は猫である。名はまだない。だが今日、ポストに届いていた一通の封筒を見て、人間たちはざわめいた。「まさか、おまえに召集令状…?」 冗談ではない。もし猫に兵役義務などというものが課されたら、世界は一変する。 まず、朝の点呼に集まらぬ。なにせ吾輩は朝日と共に起きるが、眠くなったらその場で寝る。起床ラッパより、腹時計のほうが正確である。 訓練? 駆け足?それならカラスを追い回すほうが100倍マシだ。 命令には従わぬ。それは猫の矜持である。「伏せ」と言われて伏せる猫など、この地球にはおるまい。あえて言えば、気が ...