吾輩は猫である。名はまだない。 今朝はいつもの昼寝場所ではなく、飼い主に連れられてオフィスなる場所に来た。どうやら「インターン」という制度で、若者が社会を学ぶ日らしい。 スーツ姿の学生たちが緊張した顔で挨拶をしている。「よろしくお願いします!」声は張りつめ、まるで新しい縄張りに踏み込む猫のようだ。 吾輩は机の下から観察する。メモを取る姿、パソコンを打つ指先、笑顔を作ろうとするがぎこちない口元。それでも必死に前へ進もうとする様子に、ひげがぴくりと動いた。 人間にとってインターンは試しの場らしい。だが吾輩から ...