吾輩は猫である。
名前はまだない。
人間は、
自分より先に、
猫が旅立つと思っている。
だが、
人生とは、
思い通りにはならぬ。
もし、
人間の方が先だったら。
残された猫は、
誰が守るのだろう。
人間はこれを、
猫信託と呼ぶ。
お金だけではない。
誰が世話をするのか。
どこで暮らすのか。
病気になったら。
最後まで、
安心して生きられるのか。
その約束を、
元気なうちに決めておく仕組みである。
吾輩は思う。
愛情とは、
今だけ可愛がることではない。
自分がいなくなった後まで、
考えることでもある。
猫は、
明日の心配はしない。
今日、
安心して眠れればよい。
だが、
人間には未来を準備する力がある。
だからこそ、
備えてほしい。
「まだ早い。」
「その時になったら。」
そう思っている間にも、
時間は静かに流れていく。
信託とは、
財産を守る仕組みである前に、
命を守る約束なのかもしれぬ。
吾輩は猫である。
契約書は読めぬ。
だが、
最後まで安心して眠れる家は知っている。
猫信託とは、
飼い主の愛情を、
未来へ引き継ぐための贈り物なのだ。
その先も
守る約束
猫のため