【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―参鶏湯 編―

2026年9月19日

吾輩は猫である ―参鶏湯 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

人間は、
疲れると温かいものを食べたがる。

鶏。

高麗人参。

もち米。

にんにく。

いろいろ詰めて、
ことこと煮る。

人間はこれを、
参鶏湯と呼ぶ。

吾輩は思う。

ずいぶん手間をかけて、
元気になろうとするものだと。

だが、
悪くない。

弱った時ほど、
派手なものより、
ゆっくり体に入るものがよい。

熱すぎず。

重すぎず。

少しずつ、
体の中へ染み込む。

人間は、
疲れている時ほど頑張る。

「もう少し。」

「あと一つ。」

そう言いながら、
さらに消耗する。

猫なら、
しない。

弱れば寝る。

寒ければ温まる。

腹が減れば食べる。

実に単純である。

吾輩は思う。

回復とは、
気合ではない。

休むこと。

温めること。

食べること。

そして、
無理をしないこと。

参鶏湯は、
いきなり人を強くする料理ではない。

少しずつ、
元の自分へ戻していく。

そこがよい。

人間は、
「元気になる」と聞くと、
すぐに効き目を求める。

だが、
本当に必要なのは、
一晩で強くなることではない。

明日も、
普通に動けることなのだ。

吾輩は猫である。
参鶏湯は食べぬ。

だが、
疲れた時に温かい場所へ戻る大切さは知っている。

参鶏湯とは、
頑張るための料理ではない。

頑張りすぎた体に、
「もう少し休んでよい」と教える、
温かな一杯なのだ。


温めて
元の自分へ
戻りけり

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gonta

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