吾輩は猫である。
名前はまだない。
人間は、
機械の電池が減ると、
すぐに充電する。
スマートフォン。
パソコン。
車。
人間はこれを、
充電と呼ぶ。
残量が少なくなれば、
警告が出る。
赤くなる。
動きが鈍くなる。
だから、
早めにつなぐ。
吾輩は思う。
人間自身にも、
残量表示があればよいのにと。
疲れている。
眠い。
集中できない。
少しイライラする。
それでも、
人間は動こうとする。
「まだいける。」
「もう少しだけ。」
そう言いながら、
電池切れまで使う。
猫なら、
そこまでしない。
眠ければ寝る。
疲れれば動かない。
日向へ行き、
丸くなる。
それで、
少しずつ戻る。
吾輩は思う。
充電とは、
何もしない時間ではない。
また動くために、
力を戻している時間なのだと。
人間は、
休むと不安になる。
止まっているように感じる。
だが、
充電中の機械を見て、
怠けているとは言わない。
ならば、
人間も同じでよい。
眠る。
食べる。
ぼんやりする。
誰かと話す。
好きなことをする。
それぞれに、
違う充電方法がある。
満タンまで戻らなくてもよい。
少し回復すれば、
また一歩進める。
吾輩は猫である。
充電器は持たぬ。
だが、
力が減った時に休む知恵は知っている。
充電とは、
止まることではない。
明日も動くために、
今日の自分を静かに整えることなのだ。
休むほど
明日の力が
満ちてくる