吾輩は猫である。
名前はまだない。
人間は、
体重だけでは満足しなくなった。
体脂肪。
筋肉量。
基礎代謝。
内臓脂肪。
数字が、
次々と並ぶ。
人間はこれを、
体脂肪計と呼ぶ。
吾輩は思う。
ずいぶん細かく、
自分を測るものである。
乗る。
数秒待つ。
そして、
画面を見る。
昨日より増えた。
減った。
人間の気分も、
数字と一緒に上下する。
だが、
一日で大きく一喜一憂するのは、
少し忙しい。
吾輩は思う。
大切なのは、
一回の数字ではない。
流れである。
少しずつ増えているのか。
減っているのか。
変わらないのか。
そこを見る方が、
ずっと意味がある。
猫も、
毎日同じように見えて、
少しずつ変わる。
食欲。
動き。
毛並み。
眠る時間。
その積み重ねが、
体の状態になる。
人間は、
数字を正解だと思いたがる。
だが、
数字は答えではない。
目安である。
体調。
生活。
食事。
運動。
全部合わせて見て、
初めて意味が出る。
吾輩は猫である。
体脂肪率は測らぬ。
だが、
最近少し重くなったかどうかは、
抱き上げる人間の顔で分かる。
体脂肪計とは、
自分を責めるための機械ではない。
日々の変化に、
少し早く気づくための、
静かな観察道具なのだ。
数字より
流れを見れば
身が軽い