吾輩は猫である。
名前はまだない。
世界は広い。
国も、
街も、
人も、
数え切れぬほどある。
だから、
二度と会わぬと思う。
だが、
不思議なもので、
また会う。
遠い町で、
昔の知り合いと出会う。
初めて会った人が、
誰かの友人だったりする。
人間はこれを、
縁と呼ぶ。
吾輩は思う。
世界とは、
広さだけでは測れぬと。
人は、
誰かとつながり、
その誰かが、
また誰かとつながっている。
一本の糸は細い。
だが、
幾重にも重なれば、
大きな網になる。
猫もまた、
縄張りを歩けば、
同じ猫と顔を合わせる。
偶然に見えて、
実は、
同じ道を歩いているだけなのかもしれぬ。
だからこそ、
出会いを粗末にしてはならぬ。
今日の挨拶が、
何年後かに、
思わぬ形で返ってくることもある。
吾輩は猫である。
世界中は歩けぬ。
だが、
人と人との距離は、
思っているより近いことを知っている。
世界は広い。
それでも、
人の縁は驚くほど近くでつながっているのだ。
広き世も
縁をたどれば
隣なり