【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

吾輩は猫である ―裏切りと化かし合い 編―

2026年9月9日

吾輩は猫である ―裏切りと化かし合い 編―

吾輩は猫である。
名前はまだない。

人間は、
時々笑いながら近づく。

味方のように見える。

親しげに話す。

だが、
心の中では別のことを考えている。

人間はこれを、
裏切りとか、
化かし合いとか呼ぶ。

吾輩は思う。

実に器用な生き物である。

猫なら、
嫌なら離れる。

警戒すれば、
耳が動く。

怒れば、
尻尾に出る。

隠しているつもりでも、
だいたい漏れている。

人間は違う。

笑顔のまま、
距離を詰める。

褒めながら、
値踏みする。

握手しながら、
次の一手を考える。

なかなか高度である。

だが、
吾輩は思う。

化かし合いとは、
賢さではない。

相手も同じことを始めれば、
誰も信じられなくなる。

そして、
信じられぬ者同士ほど、
確認が増える。

契約が増える。

会議が増える。

メールも増える。

結局、
ずいぶん面倒になる。

人間は、
裏切られると怒る。

だが、
自分が少しごまかす時には、
「仕方がない」と言う。

そのあたりも、
実に人間らしい。

吾輩は思う。

信頼とは、
相手が絶対に裏切らないと信じ込むことではない。

裏切れば、
関係が壊れると知りながら、
それでも誠実でいようとすることではないかと。

猫同士にも、
駆け引きはある。

餌の場所。

寝床。

縄張り。

だが、
毎日だまし合っていたら、
昼寝をする暇がない。

だから、
ある程度は相手を読む。

そして、
ある程度は信じる。

その方が、
ずっと楽である。

吾輩は猫である。
化かすくらいなら、
最初から少し離れる。

裏切りとは、
一度の行為で終わるものではない。

その後、
相手の中に残る疑いまで含めて、
長く続くものなのだ。

人間よ。

勝ったつもりで、
信頼まで失ってはいないか。


化かし合い
最後に消える
信頼よ

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gonta

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