吾輩は猫である。名はまだない。だが今日も、飼い主のスマホから聞こえる言葉を聞き逃さない。 「この候補はダメ」「こっちはマシ」「どれも同じじゃん」参議院選挙が近づき、タイムラインは炎のようにざわついている。 飼い主は寝転がってスマホをスクロールしながら、ときおり眉をひそめ、たまに口角を上げ、そして、誰かの投稿をシェアした。 その言葉、ほんとうに自分の声か? 猫は言葉を持たぬ。だからこそ、言葉の重さをよく観察している。一度つぶやけば戻らず、スクリーンに刻まれた感情が、誰かを傷つけることもある。 「陰謀」「売国 ...