吾輩は猫である。名はまだない。元町の石畳を歩いていたら、広場に人だかりができていた。眩しい白いバイクが並び、青い制服の警官たちが誇らしげに立っている。どうやら今日は「白バイ体験」のイベントらしい。 子どもたちが順番に跨り、記念写真を撮っている。エンジンは止まっているのに、金属の光沢はまるで生き物のように力強い。吾輩は興味に勝てず、警官の足元からスルリと飛び乗った。 「おや、猫さんも体験かい?」周囲から笑いが起こり、シャッターの音が続く。吾輩はハンドルの上で胸を張り、しっぽを高く掲げて「安全第一!」の顔をし ...