吾輩は猫である。名はまだない。だが今日は、**夏の祝日「海の日」**である。 海は見たことがない。けれど、テレビが見せてくれた。青い空、白い砂浜、はしゃぐ人間たち。飼い主もそわそわしながら、浮き輪をふくらませていた。 「暑くなるらしいから、水分とってね」母のような口ぶりで、吾輩の水皿を満たしてくれる。外に行くのは飼い主のほうなのに、水を飲むのは吾輩のほうが上手である。 留守番中、エアコンの設定は28度。それでも午後の日差しは床を焼く。吾輩は、風の通る玄関タイルで身体をのばした。 玄関に吊るされた温湿度計が ...