吾輩は猫である ― ようこそ横浜編(Russian,English,Japanese) ―
Добро пожаловать в Йокогаму — «Я кот, современное издание» Я кот. У меня нет имени.Однажды я оказался на скамейке в парке Ямашита. Морской бриз колыхал мою шерсть, а статуя девочки в красных башмачках молча стояла рядом, будто охраняла меня. Так я понял: ...
吾輩は猫である ―猫深夜残業 編―
吾輩は猫である。名はまだない。だが、夜のオフィスに忍び込むのが日課である。 昼間は人間たちであふれていたこの空間も、夜9時を過ぎれば別世界。蛍光灯の明かりは半分、キーボードの音だけがコツコツと響く。 吾輩は、あの部署のあの席へと向かう。そこには、いつも同じ顔のサラリーマン。眼鏡の奥の目は充血し、冷えたコーヒーが三杯並んでいる。 書類の山、赤く染まったエクセル、メールの「件名:至急」それらに囲まれながら、この人間はまるで何かを罰するように働いている。 吾輩は、プリンターの上から見下ろす。「もう、帰っていいの ...
吾輩は猫である ―猫パパ編 ―
吾輩は猫である。名はまだない。だが、“父”である。 ある日、路地裏で小さな鳴き声がした。ふと見ると、まだヨチヨチ歩きの仔猫が三匹。母猫はいなかった。置いていかれたのか、亡くなったのか。吾輩は迷った末――そこに座った。 「父になろう」と決めたのは、べつに偉いことではない。ただ、ほっておけなかったのだ。 最初の夜は、仔猫たちが吾輩の尻尾で遊んで眠った。次の日は、エサ場を案内した。三日目には、カラスから身を挺して守った。 誰かが言った。「オス猫にしては、面倒見がいいな」 吾輩は応えない。だが、仔猫が無事に生きて ...
吾輩は猫である ―この世界の片隅に 猫編 ―
吾輩は猫である。名はとうに忘れた。呼ばれるたび、別の名をもらったからだ。 広島の港町にいた。戦の影がじわりと迫っても、吾輩の一日は変わらなかった。縁側で丸くなり、おひつの米の匂いを嗅ぎ、子どもたちの足元をすり抜けていた。 朝、空襲警報が鳴っても、夕方には家の灯がともっていた。人間たちは怯えながらも、味噌汁をすすり、笑い合っていた。 そして、ある夏の日。空が光り、地面が揺れた。 吾輩は、生き残った。でも、家も、人も、いつもの声も、どこにもなかった。焼け跡の炭の中、小さな草の影にうずくまりながら、吾輩は初めて ...
吾輩は猫である ― 終戦記念日 編 ―
吾輩は猫である。名はまだない。だが、今日は名を呼ばれることもない日である。 8月15日、終戦記念日。蝉の声がけたたましく、だが町は、いつもより静かである。 飼い主の祖母は朝から仏壇に向かい、線香を焚き、ラジオをつける。「黙祷」――その声に、吾輩も動きを止める。 昔、祖母が言った。「この家には、戻らなかった誰かがいた」写真も、名前も、声ももう知らぬけれど、その“誰か”を毎年思い出す日が今日なのだと。 吾輩の祖先もまた、焼け野原を彷徨ったかもしれぬ。防空壕に潜り、疎開先で新しい子猫を産み、人とともに、生き延び ...
吾輩は猫である ―握り寿司 編―
吾輩は猫である。名はまだない。だが、寿司には一家言ある。 かつて、路地裏の寿司屋に迷い込んだことがある。「江戸前の粋ってやつを、知ってみたい」と思ったからだ。カウンターの檜の香り、職人の手元から舞う白い湯気、そして、目の前に置かれたのは――赤身の握り。 静かだった。客は誰もしゃべらない。シャリの湯気と、炙りの煙だけが語っていた。 飼い主は言う。「猫が寿司なんて…冗談でしょ?」 違うのだ。我々猫族は、本能的に“良い魚”を知っている。脂の乗り、酢飯の温度、あの一貫に込められた「沈黙の技術」に、胸が打たれるので ...
吾輩は猫である ―アイスクリーム食べ歩き 編―
吾輩は猫である。名はまだない。だが、“アイスの名店”はすべて知っている。 暑い日だった。道端のアスファルトが肉球を炙るような午後、吾輩は「アイスクリーム食べ歩き」に出かけた。 まずは商店街の老舗和菓子屋。店先で出していたのは、抹茶と黒蜜のあいがけソフト。香り高く、まろやか。舐めるというより、嗅ぐに近い至福である。 次に訪れたのは駅前の観光案内所の脇。ひっそりとキッチンカーが停まり、そこには「トマトジェラート」と書かれていた。トマト…?と眉をひそめたが、意外と酸味が効いていて夏向きだった。 路地裏のカフェで ...
吾輩は猫である ―ジャングリア どうなる? 編―
吾輩は猫である。名はまだない。だが今、沖縄の森の端っこにて、耳を澄ませている。その名も「ジャングリア」――新しいテーマパークの鼓動が聞こえるからだ。 最初は観光バスの列に驚いた。次に、上空をゆっくりと漂う気球の影に目を細めた。「動物と自然とテクノロジーの融合」だと人間は言う。なるほど、アバターもいればカピバラもいる。冷房完備の檻と、スマホを構える人々。 だが、森に住む我ら猫族としては、少しばかり気がかりな点もある。 “にぎわい”と“かき乱し”は、紙一重。 飼い主の祖母が言っていた。「昔は、このあたり一帯、 ...
吾輩は猫である ―北海道40度 編 ―
吾輩は猫である。名はまだない。暑さにはめっぽう弱い。だが、よりによって“北海道”で熱中症になりかけるとは、誰が想像しただろうか。 「北海道が40度です」テレビから流れたその言葉に、飼い主は氷を落とした。エアコンのない実家に帰省していた人々は、急遽ホテルに避難する騒ぎだ。 北の大地 避暑地どころか 灼熱地 札幌の猫友からLINEが届いた。「こっちは溶ける、畳が灼けてる、もう“涼しい顔してラーメン”なんて無理ニャ」 本州から移住した猫たちが語る。「涼しさにひかれて越してきたのに、これでは詐欺だ」と。 農家の猫 ...
吾輩は猫である ― スーパーマンは移民 編 ―
吾輩は猫である。名はまだない。だがこのところ、ヒーローものの映画ばかり見せられている。 特に飼い主が好きなのは、スーパーマン。「やっぱ正統派って感じで、いいよね〜」空を飛び、ビルを持ち上げ、正義を貫く男。 だが、ふと気づいた。――彼は、地球生まれではない。 故郷を失い、宇宙から飛来し、地球に預けられた小さな命。彼は“地球人のふり”をして暮らしている。 ふむ。それって、猫にとっての“人間社会”と、どこか似ているではないか。 居場所なく 居場所となりぬ 他所の地で 我々猫も、本来は野を歩く存在。だが今は、家具 ...









