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【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/6/17

吾輩は猫である ―鍼灸とカイロプラティックとマッサージ 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 体は、静かに歪む。急に壊れるわけではない。少しずつ、偏りが積み重なる。 人間はそれを整えるために、いろいろな方法を持っている。 鍼灸。カイロプラティック。マッサージ。 どれも、体へ向き合う技である。 吾輩は思う。不調とは、突然現れるものではないと。 座り方、歩き方、疲れ、緊張。それらが積み重なり、ある日、形になる。 猫は、よく伸びる。無理な姿勢を続けぬ。疲れれば休み、違和感があれば動きを変える。 それが、自然な調整である。 人間は、限界まで我慢する。まだ大丈夫と、先送りに ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/6/17

吾輩は猫である ―次女猫 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 場の空気を、自然に和らげる者がいる。前に出すぎず、引きすぎず。気づけば、ちょうどよい場所にいる。 人間はこれを、次女猫と呼ぶ。 上を見て学び、下がいれば気を配る。だから、案外周囲を見ている。 自由そうに見える。だが、空気の変化には敏い。 長女ほど、背負い込みはしない。末っ子ほど、守られ慣れてもいない。 その間で、うまく呼吸をする。 吾輩は思う。次女とは、柔らかさと器用さを同時に持つ存在だと。 甘える時は甘え、引く時は引く。場が重ければ、少し軽くする。 無理に中心にはならぬ ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/6/17

吾輩は猫である ―次男猫 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 先でもなく、最後でもない。その位置には、独特の身軽さがある。 人間はこれを、次男猫と呼ぶ。 上を見て育ち、下ができれば、立場も変わる。 自由そうに見える。だが、案外よく周りを見ている。 長男猫ほど、背負わぬ。末っ子ほど、守られぬ。 だから、自然と空気を読む。 吾輩は思う。真ん中とは、調整役になりやすいと。 前に出る時もあれば、引く時もある。甘えることも、譲ることも覚える。 その分、柔らかい。 人間は、次男を「自由」と言う。確かに、少し器用だ。 だが、器用とは、周囲に合わせ ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/6/7

吾輩は猫である ―長女猫 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 静かだが、場の空気を変える者がいる。大きく動かず、声も荒げぬ。だが、不思議と周囲が整う。 人間はこれを、長女猫と呼ぶ。 先に場所を知り、先に人間を観察し、先に距離感を覚える。 だから、少しだけ落ち着いている。 新しい猫が来れば、すぐには近づかぬ。まず見る。様子を測り、空気を読む。 その慎重さが、全体を安定させる。 吾輩は思う。長女とは、強く押す存在ではないと。 むしろ、崩れぬよう支える存在だ。 表には出ぬ。だが、いなくなると、妙に空気が落ち着かなくなる。 人間は、長女に「 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/6/7

吾輩は猫である ―長男猫 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 先にいた者には、独特の空気がある。慌てず、騒がず、だが、妙に存在感がある。 人間はこれを、長男猫と呼ぶ。 最初に家へ来て、最初に場所を覚え、最初に人間を観察した。 だから、少しだけ詳しい。 新しい猫が来れば、距離を測る。近づきすぎず、だが、完全には無視しない。 吾輩は思う。「先にいる」ということには、責任が少し混ざると。 教えるわけではない。だが、背中を見せる。 ここは安全。ここは危険。その空気を、自然と伝える。 人間は、長男に期待する。しっかりしろ、譲れ、我慢しろと。 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/6/7

吾輩は猫である ―初めての洗車 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 突然、大きな音がした。水が流れ、泡が広がり、外の景色が見えなくなる。 人間はこれを、洗車と呼ぶ。 初めての時は、少し驚く。いや、かなり驚く。 巨大な布が近づき、車を包み、左右から揺らす。敵かと思った。 だが、人間は平然としている。むしろ、少し嬉しそうですらある。 吾輩は思う。慣れている者と、初めての者では、同じ出来事でも意味が違うと。 知っていれば、ただの洗浄。知らなければ、ほぼ災害である。 音、振動、水圧。すべてが、非日常。 だが、終わってみれば、車は妙に輝いている。 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/6/7

吾輩は猫である ―車でフェリー 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 車ごと、海へ入っていく。正確には、船の中へ入るのだが、最初は少し驚く。 人間はこれを、フェリーと呼ぶ。 走っていたはずなのに、急に止まる。だが、移動は続いている。 不思議な感覚だ。 吾輩は、まず様子を見る。音、振動、揺れ。いつもの車と、少し違う。 だが、エンジンは止まり、空気は静かになる。 それは、悪くない。 高速道路のように、常に気を張る感じもない。景色はゆっくり流れ、時間も少し遅くなる。 吾輩は思う。フェリーとは、「急がぬ移動」なのだと。 速さではなく、揺られながら進 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/5/30

吾輩は猫である ―尻尾ぶんぶん丸 編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 感情とは、時に隠せぬ。特に、尻尾には出る。 人間は、顔を見る。だが、猫を見るなら、尻尾を見よ。 静かに揺れる時は、機嫌も穏やか。先だけ動く時は、少し考えている。 だが、大きく、速く、ぶんぶん動き始めた時。それは、なかなか危うい。 人間はこれを、「かわいい」と言う。だが、当猫としては、結構真剣である。 吾輩は思う。感情とは、抑え込むほど、別の場所に出ると。 言葉にしなくとも、動きに現れる。間に出る。空気に出る。 猫は、正直である。隠しているつもりでも、尻尾が全部語る。 人間 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/5/30

吾輩は猫である ―元湯 沙羅の間編―

吾輩は猫である。名前はまだない。 静かな部屋には、音が少ない。畳の匂い、障子越しの光、遠くの湯の気配。 人間はここを、「沙羅の間」と呼ぶ。 名は静かだ。だが、そこには時間を緩める力がある。 座る。ただそれだけで、呼吸が少し深くなる。 吾輩は思う。良い空間とは、何かを足す場所ではないと。 削る場所だ。 音を減らし、急ぎを減らし、考えすぎを減らす。 すると、本来の感覚が戻ってくる。 人間は、常に満たそうとする。予定、情報、言葉。 だが、空白がなければ、心は整わぬ。 沙羅の間には、余白がある。だから、落ち着く。 ...

【吾輩は猫である 現代版】猫視点で描くオリジナル短編

2026/5/30

吾輩は猫である ―高速道路、バイパス 編(危険がいっぱい)―

吾輩は猫である。名前はまだない。 道が広くなるほど、速さも増す。流れは止まらず、判断の時間は短くなる。 人間はこれを、高速道路、あるいはバイパスと呼ぶ。 便利である。遠くまで、早く届く。 だが、速さは、危うさも連れてくる。 合流、車線変更、急な割り込み。一瞬の迷いが、大きな差になる。 吾輩は思う。危険とは、特別な時だけ現れるものではないと。 「慣れた頃」が、最も危うい。 少しの油断、確認不足、急ぎたい気持ち。それらが重なると、視野は狭くなる。 人間は、目的地ばかりを見る。だが、大切なのは、無事に着くことで ...