吾輩は猫である。名前はまだない。 八月の終わりが近づくと、人間の顔が少し曇る。 子供は、宿題を思い出す。 大人は、仕事を思い出す。 人間はこれを、夏休みの終わりと呼ぶ。 始まる前は、あれほど長く見えた。 旅行へ行こう。 海へ行こう。 花火を見よう。 何もしない日も作ろう。 予定は、いくらでもあった。 だが、休みというものは、始まった瞬間から減っていく。 吾輩は思う。 人間は、終わりが近づいてから、急に時間を惜しむ生き物である。 まだ一週間ある。 まだ三日ある。 そして、 「もう明日しかない。」 そこで、や ...